遺品整理と特殊清掃の違いは?料金と選ぶポイントについても解説
2024.02.28
遺品整理と特殊清掃は、故人の身の回りを整理する目的は同じです。
しかし、明確に異なるのは、片付ける対象が「物」なのか「部屋の清掃」かの違いです。
遺品整理はあくまで故人の持ち物、特殊清掃は部屋の清掃を行うことを指します。
もし遺族が亡くなった場合、どの業者に依頼すればいいのか知っておくことで、スムーズに動くことができトラブルも少なくなります。
そこで、今回は遺品整理と特殊清掃の違いや、料金、選ぶポイントについて解説します。
実際に特殊清掃が必要になった場合にも落ち着いて動きたいという人は、ぜひ参考にしてください。
遺品整理と特殊清掃の違い:清掃対象が異なる
遺品整理と特殊清掃は、故人の部屋で片付けをするのは共通しています。
しかし、遺品整理と特殊清掃で最も大きな違いは、「対象」が「遺品」なのか「部屋の清掃」かということです。
遺品整理 | 特殊清掃 | |
---|---|---|
清掃対象 | 故人の住居にある遺品 | 部屋の清掃
(除菌・消臭も含む) |
実施目的 | 遺品の整理·処分 | 現場を清潔にする |
「遺品整理」は、故人の持ち物を整理することが主な目的です。
たとえば、生前に使っていた衣服や家電製品といった住居にあった物を分別して不要なものを処分してくれます。
遺品整理の中には買取業務も含まれていることもあり、処分の手間も省けます。
一方、「特殊清掃」は故人の遺体が発見された部屋を、原状回復するために清掃することが目的です。
一人暮らしで孤独死した場合、遺品が遺された室内に血液などの汚れが付着していたり、害虫が発生していることもあります。
環境によっては健康へのリスクもあるため、一般的な清掃では難しい場合にプロの業者による特殊清掃が行われるのが一般的です。
遺品整理と特殊清掃の繋がり:特殊清掃があれば遺品整理も同時に行う
実際、遺品整理と特殊清掃は切っても切り離せない関係にあります。
遺品整理は単体でも行うことができ、相続人であれば遺族が対応することも可能です。
しかし、特殊清掃が必要となる場合、感染リスクのあるような状況もあるので、プロの業者に任せなければなりません。
特殊清掃が必要な現場は、遺品に体液や血液が付着したり、臭いが移ってしまっているケースもあります。
その場合、部屋の清掃の一環で汚染された遺品を撤去するために遺品整理が同時に行われます。
遺品を整理しない限り、特殊清掃の目的である「部屋を原状回復する」ことにはならないので、遺品整理が必須となってくるのです。
特殊清掃が必要となるケース
では、特殊清掃が必要となる状況について解説していきます。
孤独死で発見までに時間がかかった場合
孤独死とは、誰にも気づかれず亡くなってしまったことを指します。
孤独死で亡くなった場合、発見が遅いことが多く特殊清掃が必要となることが多いです。
遺体が腐敗することで衛生面のリスクが高まったり、床が壊れているといった可能性も。
見た目を綺麗にできても、悪臭が取れないケースがほとんどです。
孤独死を発見した場合、現場には触れず、現状のまま特殊清掃業者に引き継ぎましょう。
殺人·自殺といった特殊な死亡の場合
殺人や自殺といった特殊な死亡の場合、部屋の汚れが大きくなることがあります。
素人ではなかなか対応できないため、特殊清掃に依頼することが一般的です。
特に、外的損傷の多い首吊りや刃物を用いた場合、原状回復の難易度が上がってきます。
特殊清掃が必要なときの遺品整理の考え方
結論からいうと、特殊清掃が必要な現場は同時に遺品整理も依頼することをおすすめします。
特殊清掃をして部屋がきれいになっても、遺品に死臭が移っている可能性も多く、遺族だけで遺品整理をするのは困難です。
特殊清掃業者の中には、遺品整理を兼業している業者もあるため、まとめて依頼すると効率的に進められるでしょう。
もし依頼したいエリアに特殊清掃·遺品整理を同時にできる業者がいない場合は、それぞれ依頼することも可能です。
その場合、お互いの業者に事前に伝え、連携できることは連携しながら進めてもらうようにすることをおすすめします。
遺品整理と特殊清掃の仕事の流れ
実際に遺品整理と特殊清掃がどのように行われるか、確認しておきましょう。
主には、以下の流れで進むのが一般的です。
①汚染された場所の片付け・清掃
②遺品整理
③除菌・消臭
④原状回復リフォーム
それぞれ詳しく解説していきます。
①汚染された場所の片付け・清掃
まず、遺体のあった周りから片付けを行います。
体液や血液が付着した布団などを片付け、床や壁を清掃し、見た目を綺麗にすることからスタートします。
汚れ具合が深刻な場合は、④にあるフローリングの張替えなど原状回復リフォームが必要になることもあるので覚えておきましょう。
②遺品整理
ある程度、汚染箇所の清掃が落ち着いたら遺品整理に取り掛かります。
悪臭や害虫が発生している場合は、遺品整理と同時並行することもあり、現場によって様々です。
遺族の依頼があれば、意向をくみ取った遺品整理も可能なことも。
特別に要望があれば特殊清掃を始める前に伝えておくと良いでしょう。
③除菌・消臭
部屋の中の遺品が空っぽになった状態で、仕上げに消臭·除菌作業が行われます。
孤独死や自殺、事件の現場となった場所の一番の悩みとなる、臭いを除去することが可能です。
④原状回復リフォーム
部屋の状況によっては、床や壁紙の一部を張替えすることが必要になるケースも。
見積もりの際、必要であれば提案してくれる業者もあるので、確認しておきましょう。
遺品整理と特殊清掃の料金相場
では、遺品整理と特殊清掃の料金相場を確認しておきましょう。
注意点としては、料金があまりに安い業者はまともに仕事をしてくれない可能性もあるので、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
遺品整理
遺品整理の場合、部屋の間取りによって金額が異なります。
部屋の間取り | 料金相場 |
---|---|
1R·1K | 30,000円~10,000円 |
1DK | 50,000円~150,000円 |
1LDK·2DK | 80,000円~250,000円 |
2LDK·3DK | 120,000円~350,000円 |
3LDK | 170,000円~500,000円 |
4LDK | 230,000円~600,000円 |
部屋が広くなると、作業人数も確保するための人件費や、作業時間が増えることが理由です。
特殊清掃
特殊清掃の場合、作業内容によって金額が異なります。
作業内容 | 料金相場 |
---|---|
床上清掃 | 30,000円~ |
浴室清掃 | 40,000円~ |
消臭剤·除菌剤 | 20,000円~ |
畳の撤去 | 1枚5,000円~ |
害虫駆除 | 30,000円~ |
特殊清掃は害虫駆除や事故物件の原状回復など、現場によって様々なので料金相場は大きく変わることも。
あくまで目安として、実際の金額は見積もりサービスを利用すると良いでしょう。
遺品整理と特殊清掃業者を選ぶポイント
特殊清掃と遺品整理が同時に必要となる現場の場合、選ぶべきポイントはどのような点でしょうか。
業者選びに失敗すると再依頼するケースも少なくないので、しっかりチェックしておきましょう。
なるべく早く作業をしてもらえるか
遺品整理と特殊清掃が必要となる依頼をするなら、なるべく迅速に対応してもらえる業者を選びましょう。
孤独死や自殺といった現場の場合、発見時にはすでに時間が経過していることも多いです。
時間が経つほど状況が悪化するため、できるだけ早く対応しなければ悪臭や害虫によりご近所トラブルになる可能性もあります。
作業実績と資格所有業者かを確認
特殊清掃を依頼したものの、汚れや臭いが取り切れず他の会社に再依頼するケースも少なくありません。
そのため、ホームページで実績を公開している業者や、「事件現場特殊清掃士」の資格を持つ業者を選ぶと良いでしょう。
問い合わせや見積もりの対応
遺品整理や特殊清掃業者に問い合わせを依頼した場合、見積もり時の対応について確認しましょう。
清潔な服装をしている、丁寧な言葉遣いなど、作業を丁寧にしてくれるかどうかは担当者を見れば分かります。
また、説明や見積もりが分かりやすいかも重要なポイントです。
特に、作業ごとに料金が明示されているかをチェックしておくことをおすすめします。
見積もりの詳細がない場合、当日思わぬ追加料金が発生することも少なくありません。
まとめ
今回は、遺品整理と特殊清掃の違いについて解説しました。
親族が孤独死や特殊な死亡をした場合、遺族は大きな悲しみとショックに陥ります。
そうなった時に、部屋の原状回復や遺品整理というのは精神的にも辛いものがあるでしょう。
特殊清掃や遺品整理をプロに任せることで、故人の死に向き合う時間も確保できるというメリットもあるので、選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。