【5ステップでできる!】実家を遺品整理する手順とコツ
2024.02.28
・実家の遺品整理を始めたいけど、何から手をつければいいんだろう…
・具体的にどうやって進めればいいの?
・スムーズに進めるためのコツが知りたい
・ちなみに、空き家として実家を放置するとどうなるの?
・自分たちで遺品整理できるか自信がない…
こんな悩みにお答えします。
実はやみくもに遺品整理を進めると、思わぬトラブルや損失につながることをご存知でしょうか?「まだまだ遺品整理する気持ちになれない…」と感じる方もいると思いますが、遺品整理はなるべく早く始めるに越したことはありません。
そこで本記事では、以下の内容をお伝えします。
・実家の遺品整理で知っておくべき3つのポイント
・実家の遺品整理は早めにすべき3つの理由
・実家の遺品整理を始めるタイミング
・実家を遺品整理する5つの手順とコツ
・遺品整理を依頼すべきケース
最後まで読めば、トラブルなく実家の遺品整理をスムーズに進められるようになります。
特に、実家と離れて暮らしている方に見ていただきたい内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
【要チェック!】実家の遺品整理で知っておくべき3つのポイント
実家の遺品整理を始める前に、以下の3点を押さえておきましょう。
・ポイント①:遺品整理は基本的に相続人がする
・ポイント②:遺言書を優先的に探す
・ポイント③:安易に遺品に手をつけてはいけない
確認が不十分だと、思わぬトラブルや損失につながる恐れがあります。
順番に解説しますので、前提知識として身につけておきましょう。
ポイント①:遺品整理は基本的に相続人がする
故人の遺品はあらゆる物が相続財産になり、法律上すべて相続人が引き継ぐことになるからです。
したがって、故人の遺品は他人が勝手に処分できません。
「実家より遠方に住んでいるし、かねてから母親と親しかった隣人の〇〇さんに遺品整理をお願いしようかな。〇〇さんも協力的だし」というのは禁物。
いくら故人と親しい間柄であった人でも、遺品整理に関しては処分する権利はありません。基本的には兄弟や身内などの相続人全員で協力して進めましょう。
ただし、遺言書の内容によっては、相続人以外の人も相続する権利があるパターンもありますので念頭においておきましょう。
ポイント②:遺言書を優先的に探す
遺言書の有無によって、相続の進め方が変わるからです。
というのも、遺言書は故人の相続に対する意思が反映された法的拘束力を持つ書類だからです。
具体的には、遺言書がなければ遺産分割協議をし、遺言書があれば遺言書の種類と内容に応じた相続手続きを進めます。たとえ相続人全員で相続財産の配分を決めても、遺言書の内容が優先されますのでご注意ください。
また、遺言書と同じくらい頼りになるのがエンディングノートです。
エンディンノートに法的拘束力はありませんが、故人の相続についての希望や相続財産などが記された重要書類ですので、遺言書とともに優先的に探しましょう。
ポイント③:安易に遺品に手をつけてはいけない
相続財産の全体像を把握するまでは、遺品に手をつけないようにしましょう。
遺品に手をつけると、プラスの財産(資産など)に加えてマイナスの財産(借金など)も「相続する意思がある」とみなされ(単純承認)、相続放棄できなくなる可能性があるからです。
民法では以下のように定められています。
“相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。”(民法920条)
“次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。”(921条1号)
家や車などを売ってから借金などが判明したケースでは借金も承継することになりますので、しっかり全体像を把握してから遺品を処分しましょう。
実家の遺品整理は早めにすべき3つの理由
悲しみが深く、「まだまだ遺品整理する気になれない…」というお声もあるでしょう。
遺品整理を早くすべき理由を3つお伝えしますので、急ぐべきかどうか判断してみてください。
・理由①:期限を気にする必要があるから
・理由②:重要書類や契約書類を見つけるのに時間がかかるから
・理由③:実家の放置にはリスクが伴うから
理由①:期限を気にする必要があるから
実家が賃貸であれば家賃がかかり続けますので、解約して引き渡すためにも期限を意識しながら遺品整理をする必要があります。
また、故人にまつわる手続きの期限は、下表を参考にしてみてください。
・死亡届 | 7日以内 |
・火葬許可申請 | |
・年金受給停止 | 14日以内 |
・健康保険資格や世帯主の名義変更 | |
・相続放棄 | 3ヶ月以内 |
・限定承認 | |
・故人の準確定申告 | 4ヶ月以内 |
・相続税の申告・納付 | 10ヶ月以内 |
・遺留分侵害額請求 | 1年以内 |
・死亡一時金の受取請求 | 2年以内 |
・生命保険の受け取り | 3年以内 |
・相続した不動産の名義変更 | |
・相続税の還付請求 | 5年10ヶ月以内 |
そもそも相続税は非課税枠を超えた分が対象になりますので、早めに遺品整理することで納税すべきかどうかの判断にもつながります。
手続きが遅れると、以下のようなリスクが発生します。
・追加の手続きが必要になる
・相続税の申告期限を過ぎると、多くの税金を支払うことになる
・相続人であると知ったときから3ヶ月を過ぎると、相続放棄ができなくなる
したがって、期限を気にする必要がある以上は、なるべく早く遺品整理をするのが吉です。
理由②:重要書類や契約書類を見つけるのに時間がかかるから
遺言書やエンディングノートで明らかにされていれば話は別ですが、必ずしも重要書類などの置き場所がすぐにわかるとは限りません。
たとえば、相続した不動産を売るときは権利証や不動産売買契約書などで購入時の費用を確認する必要がありますし、サブスク契約などは解約しないと料金が発生し続けます。
いくらで購入したかわからないと所得税を多く支払うことになりかねませんし、解約できないことでずっとお金がかかり続けるリスクが発生します。
書類を探して費用を把握するには時間がかかるので、早めに対策しましょう。
理由③:実家の放置にはリスクが伴うから
遺品整理が遅れると、家屋について以下のようなリスクが生じます。
・家が劣化していく
・家の価値が下落して売りにくくなる
・固定資産税の支払いが続く
・「特定空き家」に指定されると増税や罰金などがある
・トラブルに巻き込まれる
人が住まなくなると換気がされず湿気やカビが増殖し、家の劣化は加速します。そして株価の変動と同じように家や土地の価値も変動しますので、早めに売却に着手するほど値下がりによる損失を防げる可能性は高まります。
「1月1日時点の土地・家屋の所有者」に課せられる固定資産税は、実家を放置していると払い続けることになります。さらに実家を放置して「特定空き家」に指定されると、増税に加えて罰金や解体費用まで請求される可能性も。
空き家として放置すると不審者による不法侵入や盗難・放火のリスクも高まり、放置されたゴミによる隣人へのトラブルなども考えられますので、早めに対処することをおすすめします。
実家の遺品整理を始めるタイミング
「実家の遺品整理を早くすべき理由はわかったけど、具体的にはどんなタイミングがベストなの?」というお声もあるでしょう。
遺品整理を始めるタイミングは、以下を参考にしてみてください。
・葬儀の後
・諸手続きが終わった後
・四十九日を迎えた後
・相続税の発生前
・親族が集まるタイミング
とはいえ、遺品整理を始めるタイミングに正解はありません。ですので、上述した「遺品整理は急ぐべきかどうか」で判断しましょう。
遺品整理を始めるタイミングは、下記の記事でくわしく解説しています。
>> 遺品整理はいつから始めるのがベスト?−遺品整理をするポイントも解説−
【5ステップでできる!】実家を遺品整理する手順とコツ
やみくもに遺品整理を始める前に、スムーズに進めるための手順とコツを押さえておきましょう。
実家を遺品整理する手順は、以下の5ステップです。
・ステップ①:全体像を把握して計画を立てる
・ステップ②:必要なものを準備する
・ステップ③:遺品を仕分ける
・ステップ④:遺品を処分する
・ステップ⑤:清掃する
では、順番に見ていきましょう。
ステップ①:全体像を把握して計画を立てる
何事も準備が肝心ですので、実家に足を運んで次のような全体像を把握しておきましょう。
・遺品の量や大きさ
・実家の周辺環境
・人手はどれくらい必要か
そして、以下のようなスケジュールを確認したうえで計画を立てましょう。
・いつ遺品整理を始め、いつまでに終わらせるか
・何曜日にゴミを回収してもらえるか
・自治体のゴミ持ち込み場所は何時まで受付しているか
トラブルを回避してスムーズに遺品整理を進めるためにも、相続人である親族には全体像と計画を共有して協力を仰ぎましょう。
ステップ②:必要なものを準備する
足りないものを買い足すスタイルだと、効率が悪くなるからです。
以下のリストを参考に、必要なものは先に揃えておきましょう。
身につけるもの | 遺品の仕分けや処分に使う道具 | 清掃する道具 |
---|---|---|
汚れてもいい服 | ダンボール | 掃除機 |
厚手の靴下 | ガムテープ | 雑巾 |
軍手 | マジックペン | バケツ |
マスク | ハサミ・カッター | スポンジ |
スリッパ | ドライバー・ペンチ | ブラシ |
ゴミ袋 | ハンディモップ | |
手押し台車 | 洗剤 | |
運搬用の車 | ゴム手袋 |
ステップ③:遺品を仕分ける
遺品をスムーズに仕分けるコツは、次の4つに分類することです。
・思い出の品や形見
・貴重品や重要書類
・再利用できるもの
・捨てるもの
4つのカテゴリーに仕分けると、効率的に進められるからです。
仕分けに迷うものは保留にし、仕分けられる遺品から進めていきましょう。また、分別スペースを確保すると、仕分けがしやすくなるのでおすすめですよ。
思い出の品や形見
思い出の品とは、以下のようなものを指します。
・写真
・日記
・手紙 など
形見分けする遺品は、以下のような故人の愛用品が考えられます。
・アクセサリー
・着物
・洋服 など
残し始めるとキリがないときは、写真や動画としてデータ保存しましょう。場所を取らず、見返しやすいのでおすすめです。
貴重品や重要書類
貴重品や重要書類とは、次のようなものを指します。
・遺言書やエンディングノート
・現金
・通帳
・キャッシュカード・クレジットカード
・株式・債券
・土地・不動産の権利関係書類
・小切手・手形
・保険契約書
・ローンの明細
・宝飾品、美術品、骨董品、切手、コイン
・金庫と金庫の鍵
・運転免許証
・健康保険証
・年金手帳
・マイナンバーカード
・パスポート
・印鑑登録した実印
この段階で、相続をスムーズに進めるためにも「プラスの財産」と「マイナスの財産」についても把握しておきましょう。
プラスの財産の例 | マイナスの財産の例 |
---|---|
金融資産(現金、預貯金、株式、債券、投資信託など) | 借入金(住宅ローン、カーローン、カードローン、友人・知人からの借金など) |
不動産(宅地、田畑、山林、借地権、建物など) | 未払金(水道光熱費、通信費、医療費など) |
車・バイク | 敷金、保証金、預り金、買掛金、前受金 |
宝飾品、美術品、骨董品、切手、コインなど | 保証債務、連帯債務、負担付贈与 |
貸付金 | クレジットカードの未決済分 |
営業権 | 所得税や消費税など未納の税金 |
ゴルフ会員権 | 葬式費用 |
遺産分割協議するときに相続財産の内容がわからないと、誰が売却・共有するのかなどが決まらず、話が前に進まない原因となります。
また、相続財産が高額だと相続税を納める必要がありますので、なるべく早く把握するように心がけましょう。
再利用できるもの
以下のような遺品は、再利用できるものとしてリサイクル・リユースに出しましょう。
・家電4品目 | エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機 |
・小型家電 | パソコン、携帯電話、カメラなど |
・家具 | テーブル、イス、ソファ、ベッドなど |
・衣服 | ※下着は再利用されにくいです |
・金属類 | 鍋、釜など |
リサイクルショップでの買取や、「メルカリ」などのフリマアプリでの売却、自治体での処分のために仕分けておきましょう。
捨てるもの
ゴミは分別し、自治体のルールに従って処分しましょう。
・燃えるゴミ | 生ゴミ、紙くず、ゴム・革製品、プラスチック製品など |
・燃えないごみ | 金属製品、陶磁器類、乾電池、ガラス、電球など |
・資源ゴミ | 缶、びん、ペットボトル、新聞・雑誌 |
・粗大ゴミ | テーブル、イス、ソファ、ベッドなどの大型家具など |
ゴミの分別ルールは自治体によって異なりますので、自治体のホームページで確認しておきましょう。
ステップ④:遺品を処分する
具体的な処分方法は以下のとおりです。
・お焚き上げする
・リサイクルショップやフリマアプリを活用する
・寄付・寄贈する
・自治体で処分する
・不用品回収業者や遺品整理業者に処分してもらう
トラブルを防ぐためにも、相続人で確認し合ってから処分しましょう。
なお、相続放棄する場合は単純承認とみなされないよう、くれぐれも処分しないように気をつけましょう。
ステップ⑤:清掃する
最後に掃き掃除や拭き掃除をして、実家をきれいにしておきましょう。
ただし、故人が孤独死していた場合など、血液や体液が床やマットに染み込んでいたり、腐敗臭がクロスに染み付いている場合などは特殊清掃が必要です。
自力でもできますが、衛生面や体力面で大きなリスクが伴います。
近隣へ配慮するためにも、特殊清掃が必要なケースは遺品整理と合わせて業者への依頼がおすすめです。
遺品整理を依頼すべきケースとは(困ったときはこれ一択)
「注意点や手順はわかったけど、やることが多くて負担に感じる…」
「仕事も家庭もあるので、自分たちのことで精一杯…」
「とはいえ、放置するわけにもいかないし、なんとかしなきゃ…」というお声もあるでしょう。
そのようなときは遺品整理のプロを頼ってみましょう。
特に、以下のような人におすすめです。
・遺品の量が多くて手に負えない
・期限までに終わらせたい
・親族間のトラブルを回避したい
・孤独死などで特殊清掃が必要
遺品整理には多くの時間と労力がかかります。実際に、「自分たちで遺品整理をしてみて2年経過してもまだ終わっていない」というケースもあります。
費用はかかりますが、時間や労力を大幅にカットできる魅力がありますので、少しでも不安がある方は検討してみましょう。
遺品整理業者に依頼するときの費用相場
遺品整理にかかる費用は、下表を参考にしてみてください。
間取り | 作業人数 | 作業時間 | 料金 |
---|---|---|---|
1K・1R | 1~2人 | 1~3時間 | 50,000円~80,000円 |
1DK・2K | 2~3人 | 2~4時間 | 90,000円~120,000円 |
1LDK・2DK | 2~5人 | 2~6時間 | 130,000円~160,000円 |
2LDK・3DK | 3~7人 | 3~10時間 | 170,000円~200,000円 |
3LDK・4DK | 4~8人 | 3~12時間 | 210,000円~240,000円 |
4LDK以上 | 4~10人 | 6~15時間 | 250,000円~ |
※オモイデに掲載する遺品整理業者の料金相場より
ただし、費用は目安です。なぜなら、以下の6つの要素で変わるからです。
・間取り
・遺品や不用品の「量」
・遺品や不用品の「種類」
・ 家まわりの環境
・ 作業日程
・オプションの有無
ほとんどの遺品整理業者は無料で見積もり対応していますので、あなたに合った見積もりを取って判断しましょう。
業者を選ぶ際のチェックポイント
遺品整理業者を選ぶときは、次のようなポイントをチェックしましょう。
・資格や許可を持っているか
・訪問見積もりに対応しているか
・見積もり内容がわかりやすいか
・対応が親切・丁寧か
・実績が確認できるか
・口コミは良いか
事実、全国的に悪質な業者によるトラブルが発生しており、国民生活センターも遺品整理サービスの利用を検討している方に注意喚起をしています。
クリーンな業者に依頼するためにも、以下の記事も合わせて読んでみてください。
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今回は実家の遺品整理のやり方について、深掘りして解説しました。
本記事をまとめると、
・基本的に遺品整理は相続人が行い、スムーズに進めるためにも遺言書の確認は優先的にする
・相続放棄するしないに関わらず、安易に相続財産には手をつけないようにし、なるべく早く相続財産や重要書類などを把握するのが望ましい
・実家を放置するとさまざまなリスクが生じるので、遺品整理は早いに越したことはない
・コツを押さえれば実家の遺品整理は5ステップでできる
・ステップ①:全体像を把握して計画を立てる
・ステップ②:必要なものを準備する
・ステップ③:遺品を仕分ける
・ステップ④:遺品を処分する
・ステップ⑤:清掃する
・期限があるときや特殊清掃が必要なときは、遺品整理業者への依頼がおすすめ
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