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【丸わかり】形見と遺品の違いとは?形見分けのポイントや注意点も徹底解説

2024.10.01

  • 形見と遺品の違いとは?
  • どのタイミングで形見分けや遺品整理をはじめればいいの?
  • 形見分けするポイントや注意点も知りたいな

こんな悩みにお答えします。

「形見と遺品」、「形見分けと遺品整理」など、これらの違いについて紛らわしく感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事でわかることは、以下のとおりです。

  • 形見と遺品の違い
  • 形見分けと遺品整理の違い
  • 形見分けに適した品物と適していない品物
  • 形見分けと遺品整理をはじめる宗教別のタイミング
  • 形見分けをするときのポイントと注意点

記事後半にかけては、「いつ」「誰に」「どうやって」形見分けをするのかについても深掘りしています。最後まで読めば、遺品整理をスムーズに進めるヒントを掴めるでしょう。

これから遺品整理をする方は参考にしてみてください。

 

形見と遺品の違い

結論、形見とは『故人の思い入れが強い品物』を指し、遺品とは『故人が遺した品物のすべて』を指します。

両者の違いのポイントは、故人の思い入れの強さです。

形見の語源は「残された遺品を通じて故人の形が見えること」とされています。形見とは故人が愛用していた品物や思い出深い品物など、見るだけで故人が思い出されるような品物を指します。

一方、遺品とは日用品や不用品などを含む、故人が所有していたすべての品物を指します。なお、遺品の中でも金銭的な価値があるものは、『遺産』として区別されます。

遺品というカテゴリーの中に形見が位置するイメージです。

 

形見分けと遺産分割の違い

どちらも故人の遺品を分けることを指しますが、主な違いは『財産価値』があるかないかです。

財産価値のあるものは、相続財産として相続人同士で遺産分割する必要があります。遺産分割とは相続財産の分け方を決める手続きのことを指します。

それに対して形見分けとは、故人の近親者や友人に形見を贈り、形見を通じて故人を偲ぶことを指します。

ですので、基本的に形見分けは財産価値が低く、遺産分割の対象にならない品物で行います。

 

形見分けに適した品物・適さない品物

形見に適した品物 形見に適さない品物
衣類・着物 利用できないもの
家具・家電 汚れているもの
アクセサリー・時計 用途がわからないもの
写真やアルバム 現金・金券・高価なもの
趣味のコレクション品・美術品・骨董品 ペットなどの生き物

形見に適した品物は、故人が肌身離さず着けていたものや、長時間使っていたものが向いています。きちんと使用状態を確認したうえで形見分けしましょう。

また、以下のような理由で、形見分けには適さない品物もあります。

  • 利用できないものや用途がわからないものは「ガラクタを押しつけられた」と思われかねない
  • 生き物は引き取る側に「面倒を見なければならない」という責任を押し付けてしまいかねない
  • 現金・金券・高価なものは遺産分割しなければならない

では、いったい何が遺産分割に該当するのかについて、もう少し深掘りして解説します。

 

【ちなみに】遺産分割の対象になる相続財産とは

以下のような相続財産は遺産分割の対象になりますので、形見分けしないようにご注意ください。

  • 不動産
  • 不動産貸借権
  • 現金
  • 預貯金等の金銭債権
  • 死亡退職金
  • 代償財産
  • 株式・投資信託
  • ゴルフ会員権

親族間での相続トラブルに発展したり、受け取った側が贈与税を納める必要性が発生したりするからです。

上記のような相続財産は最優先で探し、どう対処していくかについて法定相続人同士できちんと話し合いを行いましょう。

 

【宗教別】形見分け・遺品整理をはじめるタイミング

形見分けや遺品整理をはじめるタイミングは宗教によって異なります。

仏教、神道、キリスト教に分けて解説しますが、いずれも「忌明けの法要」が済んでから形見分けすることが一般的です。

順番に解説していきます。

 

仏教の場合

四十九日の法要を終えてから、形見分けや遺品整理をするのが一般的です。

仏教では四十九日を終えるまでは忌中とし、忌明けするまでは身を慎むよう考えられているからです。また、四十九日の法要は親族などが集まるタイミングでもあるからです。

ですので、四十九日の法要までに形見としてふさわしい品物を選んでおくと、スムーズに形見分けや遺品整理を進められるでしょう。

地域や事情によって、四十九日を繰り上げて法要を済ませるケースもありますが、その際は臨機応変に対応して問題ありません。

 

神道の場合

神道では故人の逝去した日から10日ごとに霊祭を行いますが、50日目にあたる「五十日祭」を終えてから形見分けや遺品整理をするのが一般的です。

神道は仏教と同じく、五十日祭が終わるまでは忌中として考えられており、五十日祭のタイミングは親族などが集まるタイミングでもあるからです。

とはいえ、五十日祭以外のタイミングで形見分けや遺品整理をするケースもあります。仏教と同様に事情に合わせて臨機応変に対応して問題ありません。

 

キリスト教の場合

もともとキリスト教には形見分けの風習がないため、特に決まったタイミングはありません。

ですが、日本では1か月命日の追悼ミサの後に、形見分けや遺品整理が行われるのが一般的です。

キリスト教といえども、宗派によって葬儀の流れや死に対する考え方が異なりますので、事前にマナーなどを確認しておきましょう。

 

形見分けをするときの5つのポイント

形見分けをするときは、次の5つのポイントを押さえておきましょう。

  • ポイント①:必ず事前連絡をしておく
  • ポイント②:汚れを落としておく
  • ポイント③:動作確認をしておく
  • ポイント④:リメイクしておく
  • ポイント⑤:年長者から順番に贈る

形見分けのマナーが身に付きますので、順番にチェックしてみてください。

 

ポイント①:必ず事前連絡をしておく

相手がどんなに親しい間柄でも、必ず事前に連絡をするのがマナーです。

一方的に形見を贈ってしまうと、相手の負担になりかねません。

事前に形見分けしたい旨を伝えて、受け取る側の意向をきちんと確認しましょう。

 

ポイント②:汚れを落としておく

形見を贈る前にきちんと手入れをし、きれいな状態にしておきましょう。

特にメガネやアクセサリーなど、身につける機会が多い品物ほど、汚れがつきやすくなっています。

衣類はクリーニングに出し、家電・家具は拭き掃除するなど、きちんとメンテナンスしておきましょう。

多少の傷や汚れは仕方ありませんが、相手が気持ちよく受け取ってもらえる気遣いが大切です。

 

ポイント③:動作確認をしておく

贈ろうとしている形見が壊れていないか確認しておきましょう。

家具・家電などは壊れていると、粗大ゴミやリサイクル家電として処分費用が発生するケースもあり、相手に処分する手間や負担をかけてしまうからです。

たとえば、以下のような形見も動作確認をして、受け取った側が損しないかきちんと確認しておきましょう。

  • 腕時計
  • 万年筆
  • 家具・家電
  • 楽器・オルゴール

ただし、「壊れていても受け取りたい!」という申し出がある場合は、そのまま送っても問題ありません。

 

ポイント④:リメイクしておく

相手の状況に応じて、普段使いしやすい形にリメイクして贈るのもおすすめです。

たとえば、洋服などは必ずしもサイズが合うとは限りませんし、好みがマッチするとも限りません。

ですので、以下のようにリメイクしてから贈るのも良いでしょう。

  • 指輪のサイズを変更する
  • 着物をポーチやカバンにする
  • 衣類の生地を使ってぬいぐるみにする など

とはいえ、相手の好みがわからない場合は無理にリメイクする必要はありません。そのまま贈って相手に任せる方がベターでしょう。

 

ポイント⑤:年長者から順番に贈る

故人と親しかったと思えても、年長者から順番に送るように配慮しましょう。

年功序列に近い感覚ですが、実際に気にする方は多くいます。

とはいえ、故人と血縁関係が深い順に形見分けするのも納得を得るには良い手段でしょう。

どの方法を選んでも、誰かが納得せずに揉めそうなときは、故人と一緒に棺に入れて火葬するのも手です。形見で揉めるくらいなら、愛用していた故人とともに形見を旅立たせた方が、きっと故人も喜んでくれるでしょう。

 

形見分けをするときの5つの注意点

形見分けをするときは、次の5つの注意点を押さえておきましょう。

  • 注意点①:形見分けは遺産分割協議の後にする
  • 注意点②:遺言書やエンディングノートの内容に従う
  • 注意点③:目上の人には贈らない
  • 注意点④:包装して贈らない
  • 注意点⑤:高価な品物は贈らない

ルールや礼儀をきちんと守れるようになりますので、ぜひ覚えておきましょう。

 

注意点①:形見分けは遺産分割協議の後にする

遺産分割協議とは、相続人全員で故人の遺産分割について協議することです。

形見分けを考えている品物があるならば、遺産分割協議を通じて相続人全員で形見分けにふさわしい品物なのか、価値がある品物なのかを判断します。そして、相続人全員の同意を得たうえで形見分けを行う流れになります。

当然ですが、勝手に形見分けをすると相続トラブルになるからです。

いくら価値が少なく、些細なものと思えても、独断で形見分けしないように気をつけましょう。

 

注意点②:遺言書やエンディングノートの内容に従う

故人の遺品に対する思いや意志を尊重できるからです。

特に、遺言書には法的な効力が発生するため、遺言書がある場合はその内容に必ず従いましょう。

なお、エンディングノートは発見次第、中身を見ても問題ありません。しかし、以下のように検認手続きが必要な種類の遺言書は、勝手に開封してはいけませんのでご注意ください。

遺言書の種類 作成方法 証人 保管方法 検認手続き
自筆証書遺言 自分で遺言書を書き、押印する 不要 被相続人が保管 必要
公正証書遺言 公証役場にて被相続人が遺言内容を話し、それを公証人が記述する 必要 公証役場で保管 不要
秘密証書遺言 署名・押印した遺言書を封筒に入れて封印し、公証役場で証明してもらう 必要 被相続人が保管 必要

遺言書やエンディングノートがある場合は、故人の意思を尊重するためにも、内容に沿った形見分けを行いましょう。

 

注意点③:目上の人には贈らない

近年では社会的地位や年齢に関係なく、故人と親しかった人なら誰でも受け取れる風潮になってきています。

とはいえ、「無礼だな」と感じる方もいるので注意が必要です。

目上の方の場合は「形見分けしてほしい」という申し出があったときのみ、形見分けするようにしましょう。

遺言書に目上の人への形見分けについて書かれている場合は、遺言の趣旨をきちんと説明のうえ、迷惑でないか事前に確認してから形見分けを行いましょう。

 

注意点④:包装して贈らない

形見分けはギフトではありませんので、包装して贈ってはいけません。

白無地の半紙や和紙で包み、表書きとして「遺品」や「偲び草」と書いて渡すようにしましょう。この際、できるだけ手渡しし、生前にお世話になった旨の手紙を添えるとより丁寧な形見分けができるので覚えておきましょう。

ちなみに、遠方の方に形見を贈る必要があるときは、郵送で失礼する旨を添えると丁寧に形見分けができます。

 

注意点⑤:高価な品物は贈らない

高価な品物を贈ると、贈与税や相続税が発生するからです。

高価な品物は相続財産として遺産分割したうえで相続税を負担する必要があり、贈与の場合は品物の財産価値が年間110万円を超えるときに贈与税を負担する必要があります。

なお、ご本人が生きているうちに形見分けすることも可能ですが、品物が高価であれば贈与税の対象になりますのでご注意ください。

貴金属や宝石などを中心に、高価な品物かもしれない場合は鑑定に出すなどし、きちんと価値を把握しておきましょう。

 

形見分けで起こったトラブル事例

形見分けで起こるトラブルは多岐に渡りますが、主なトラブルを3つご紹介します。

  • トラブル①:長男がすべて処分してしまった
  • トラブル②:友人と名乗る人がすべて持ち去った
  • トラブル③:実は高価だった遺品を譲ってしまった

事例を知れば、トラブルの未然防止にも役立ちますのでチェックしてみてください。

 

トラブル①:長男がすべて処分してしまった

勝手な判断や、間違いにより遺品を処分してしまうケースです。

自分にとってはゴミに見えても、家族・友人にとっては大切で思い出深い品物だったというのはよくあること。

特に、趣味のコレクション品でありがちなので要注意です。

一度捨てた遺品は元には戻りません。遺品に手をつける前に、しっかりと形見分けについての話し合いをしておきましょう。

 

トラブル②:友人と名乗る人がすべて持ち去った

「形見分けとして譲ってもらいたいものがある」と突然連絡が入るケースです。趣味仲間の数人が奪い合ったというケースも。

とは言っても、故人が口約束をしていた可能性もあるでしょう。

ですので、まずはどういう経緯だったのかについて、よく話を聞きましょう。

口約束があったとしても、あくまで優先されるのは遺族です。きちんと情報整理して、遺族が納得したうえで、第三者の申し出には慎重に応じましょう。

 

トラブル③:実は高価だった遺品を譲ってしまった

品物の価値を把握しないまま譲ってしまうケースです。

価値を把握しないままに形見分けすると、先述したように相続税や贈与税の対象になり、受け取った側にも思わぬ負担が発生しかねません。

ジュエリーやアクセサリーはもちろんのこと、故人のコレクション品などに思いもよらぬ価値があったというのは珍しくありません。

本来、相続財産として分割すべきものを譲ってしまった挙句、価値に気づいた受け手によって転売されたケースもあります。

少しでも「価値があるかな?」と感じるものは、トラブル防止のためにも鑑定などに出して価値を把握するか、形見分けしないようにしましょう。

 

まとめ 【形見と遺品の大きな違いは『思い入れの差』】

今回は形見と遺品の違いを伝えつつ、記事後半では形見分けについて深掘りして解説しました。

おさらいになりますが、形見とは故人の思い入れが強い品物を指し、遺品とは故人が遺した品物のすべてを指します。つまり、形見と遺品の違いは『思い入れの差』と言えるでしょう。

また、形見分けのポイントと注意点は下記のとおりです。

【5つのポイント】

・ポイント①:必ず事前連絡をしておく

・ポイント②:汚れを落としておく

・ポイント③:動作確認をしておく

・ポイント④:リメイクしておく

・ポイント⑤:年長者から順番に贈る

【5つの注意点】

・注意点①:形見分けは遺産分割協議の後にする

・注意点②:遺言書やエンディングノートの内容に従う

・注意点③:目上の人には贈らない

・注意点④:包装して贈らない

・注意点⑤:高価な品物は贈らない

形見と遺品の違いを押さえつつ、形見分けについての理解が深まると、故人にまつわる関係者にとってもより納得感のある遺品整理となるでしょう。

本記事がスムーズな遺品整理の一助になれば幸いです。